お元気ですか。
 いざ実行するとこのくらいの、まるで小学生のような言葉しか浮かびません。というか、手紙とかいうのは柄じゃないので早くも詰まっているわけです。
 貴方は相変わらず笑っておられますか。←ちょっと真似をしてみました。誰のとは言いません。

 ところで、冬がやってきました。寒いです。降ったばかりの白い雪が、無骨な足に踏まれて、踏み締められて、立派な氷になって、人々を転ばせているのを見ると、どうにも君のことを思い出します。やられたらしっかり仕返しをするという意味で。もちろん皮肉です。済みません。
 思い返してみれば、一見完璧な君は踏み込んでみると案外駄目人間で、私は度々、「何だかなあ」と思ったりしていました。それを悪いとも思わなかったし、かといって良いとも思わなかったので、結局全部が「何だかなあ」で流れてしまったこともありましたが、最終的に、私は「こいつ、やっぱり駄目だ」と結論付けたことを覚えています。私は君の駄目なところが好きです。……というと語弊があるので補足をします。

 (長くなるので中略)

 さて、君は今どうしているのでしょうか。別に興味はありません。私に関係がないからです。この問いに答える必要もありません。この問いを受けたということは、もう私は此処に居ないからです。これだけだと仰々しい文面ですが、単なる親の都合の引越しです。在り来たりな理由で面白みもありません。

 「貴方と居ると、泣きたくなります」
 と、いつだったか君は言いました。私たちは雪の中、ひとつの傘に2人で歩いていました。前の方でハルヒ達が騒いでいたというのに、そこだけ葬式かという静かさでした。私は何でそんな空気を背負わなきゃならんのかと、よくそうなる度に思って、笑ってやりたくなりましたが、一度もそうしませんでした。親切心のひとつだったと思っておいてください。私は君のことが好きではなかったはずなので。

 さて、私は今、その言葉を君に返します。
 君がそう言ったあの日、私は初めて君を好きだと思いました。肉まん如きで浮き沈みする不安定な君が、本当に駄目だと思ったし、実際駄目だと言ってやったし、とにかく、
 不完全な君が、好きだと思いました。
 あの不自然な空間が好きでした。

 雪は、もう降らないでしょう。
 私は冬が、冬がとても好きでした。



――― I hope that it is the letter which will not arrive you.
2007/10/14 - 2008/5/5


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